多言語翻訳業務を終えて

エル・トランスレーション・サービスの代表、花城です。年度末に大きなプロジェクトを終えて安堵しています。 18世紀、琉球王府の踊奉行(おどりぶぎょう)という役にあった玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)により生み出された、歌舞劇「組踊(くみおどり)」。その定番といわれる5演目、「執心鐘入」「二童敵討」「銘苅子」「孝行の巻」「女物狂」を多言語(英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語、スペイン語、ポルトガル語)へと翻訳する業務を遂行致しました(英語に関しては一部演目を除きます)。 組踊は、全編ウチナーグチいわゆる沖縄方言で台詞が語られる(唱えられる)ため、ウチナーグチの理解が浅い人には、演目を観賞するにはとてもハードルが高いのですが、有難いことに「国立劇場おきなわ」では、現代語訳の字幕付きで上演をしています。 弊社では、国立劇場おきなわ運営財団様の委託を受け、そのウチナーグチ台詞の「現代語訳」の多言語翻訳業務を実施しました。古典芸能という内容の難易度の高さに、各言語の翻訳者たちも大変そうでしたが、山のような資料と動画を丹念に調べ、時間をかけて翻訳・校正業務にあたってくれました。 私が (花城が)、国立劇場おきなわにて初めて組踊を観賞したのは、10年前の「花の幻」という新作組踊が上演された時でした。その時はおそらく「花の幻」の初演だったと記憶しているのですが(2010年、パンフレットを今でも大事にとってあります)、演者は玉城盛重役に大田守邦氏 (現在の玉城盛義氏)、唄三線のお一人は、照喜名朝一氏であったこと、故大城立裕氏を劇場でお見かけしたのを、今でもはっきりと覚えています。 その後、私は、インバウンド関連の仕事を始めることになるのですが、10年後に仕事で組踊の文化事業に関われることになるとは、全く夢にも思いませんでした。事業が完了した今、感慨深い思いでいっぱいです。今後とも、沖縄・琉球の伝統芸能に関連する業務に関わる機会があることを、切に願っております。(令和3年 3月26日)